パリ・リオン駅を描いた増田誠の油絵です。
画家がイメージしたリヨン駅はどこかしら物悲しさを漂わせています。
全体にグレー系の絵の具が多く使われていますが、
重い雲が流れ淡い水色の青空が広がりつつあり、曇りから晴れに変化する様子が感じられます。
それは画家の希望のようにも感じます。
黄色や青、オレンジなどの鮮やかな挿し色が効果的に使われていて、
パリらしいモダンさを感じさせてくれる作品です。
右下のベンチに座っているのがもしかしたらムッシュ増田かもしれません。
キャンバスには残念ながら4p程の破れがあります。
でもそれは容易にリペア可能な程度のもので、表側からはほとんど目立ちません。
金属プレートが設置されていますので、オリジナルのフレームだと思われます。
画家の作品の中でも特に素晴らしい作品です。
イギリスで見つけましたので、日本では一度も紹介されていない作品です。
増田誠について
増田誠(1920〜1989)は、1957年にフランスに渡り、沢山の公募展に出品を続け、
1963年にサロン・ドートンヌの会員になりました。
65年にはリ・サロン・デ・ザルティスト・フランセで金賞を受賞しています。
フランスの画壇でも認められた画家です。