1800年代後期 フランス
ムスティエ焼のような手書き模様が可愛らしい花器に生けられた、牡丹の水彩画です。
ありふれたブーケですが、奥行きのある素晴らしさと水彩画にもかかわらず、油彩画のような深い
インパクトを漂わせているのは、絵画全体から醸し出される厳かな説得力だと感じます。
それは、画家が光源をしっかりと意識して描いているからです。
左側から差し込んだ明るい光源によって淡いピンク色の花々は階調を飛ばされ、花びらの陰影すら、ただ白くぼやけたように描かれています。
陰になる赤い牡丹は2段階3段階と階調を1色の赤い絵の具の濃淡でしっかりと描いています。
また、花器や零れた花びらに描かれた正しい影は、絵画全体に立体感と奥行きを齎しています。
とても上手な画家の作品ではないでしょうか。小ぶりながら立派な作品です。
画家のサインが見られますが、詳細は不明です。
絵画は全てオリジナルの状態です。
特に目立つダメージなども無く、全体に良いコンディションです。
こちらはフランス人のプライベートコレクションの中から譲って頂いた作品となります。